パグ脳炎
パグ脳炎とは、パグなどの特定の小型犬種に多くみられる、脳に炎症が起こる病気です。
正式名称は壊死性髄膜脳炎(Necrotizing meningoencephalitis: NME)で、パグで多く見られるため、パグ脳炎とも呼ばれます。
パグ脳炎とは?
パグ脳炎は、脳と髄膜(脳を覆う膜)に炎症が起こる病気で、特にパグで多く見られることからこの名前がついています。
原因
原因はまだ完全には解明されていませんが、自己免疫反応の異常が関与していると考えられています。
遺伝的な要因も関係していると考えられており、特定の犬種に多くみられることから、遺伝的な素因が影響している可能性があります。
症状
初期症状は、発作、運動失調(ふらつき)、視力障害などがみられます。
進行すると、旋回運動(同じ場所をぐるぐる回る)、斜頸(首が傾く)、昏睡、摂食障害、遊泳運動(水泳のような動き)などがみられるようになります。
重症化すると、重積発作(長く続く発作)や誤嚥(食べ物や唾液を誤って気管に入れてしまう)により、死亡することがあります。
治療
治療は、免疫抑制剤(ステロイドなど)や抗てんかん薬を投与することが一般的です。
しかし、完治は難しく、進行を遅らせたり、症状を緩和したりすることが目標となります。
治療に反応しない場合は、数日で死亡することもありますが、治療に反応すれば数ヶ月から数年生存することもあります。
診断
MRI検査や脳脊髄液検査などが行われますが、確定診断には病理組織学的検査が必要となります。
しかし、生前の診断は、犬種、症状、MRI所見などを総合的に判断して行われます。
予防
遺伝的な要因が関与しているため、予防は難しいとされています。
早期発見、早期治療が重要です。
その他
パグだけでなく、ペキニーズ、シーズー、マルチーズ、チワワなどの小型犬にも多くみられます。
発症年齢は、生後4ヶ月齢から10歳以上と幅広く、多くは1~3歳で発症します。
メスの方がオスよりも発症しやすい傾向があります。