ワンちゃんの気持ち、ちゃんと届いてる?──行動から読み解く10の本音①
- WANMART
- 2 日前
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ワンちゃんの気持ち、ちゃんと届いてますか?
「うちの子、なんで急に草を食べたの?」
「サイレンが鳴ると遠吠えするけど、怖いのかな?」
「お腹を見せるって、喜んでる証拠?」──こんなふうに、愛犬の行動に首をかしげたこと、ありませんか?
ワンちゃんたちは言葉こそ話せませんが、実は毎日たくさんの“気持ち”を行動で伝えてくれています。
私たちが気づいていないだけで、彼らなりの「喜怒哀楽」や「好き・嫌い」「ちょっとヤキモチ」「嬉しいな!」のサインが、あちこちにちりばめられているんです。
でも、そのサインを“人間目線”だけで解釈してしまうと、勘違いしてしまうこともしばしば…。
「しっぽを振ってる=いつも嬉しい!」は本当?
「他のワンちゃんに吠えるのはわがまま?」実はそこに、彼らなりの“本音”が隠れているかもしれません。
このブログでは、獣医師や行動学の専門家の知見も交えながら、「ワンちゃんって実はこう思ってるんだ!」というリアルな気持ちに迫っていきます。 読み進めれば、あなたのワンちゃんのことが、今よりもっと、ぐっと身近に感じられるはず。
さあ、ワンちゃんの心の中をちょっとのぞいてみませんか?

ワンちゃんに感情ってあるの?
「ワンちゃんにも感情ってあるの?」そんなふうに聞かれたら、答えはズバリ──「あります!」です。
実際、最近の動物行動学や脳科学の研究では、ワンちゃんも人間と同じように「喜び」「怒り」「悲しみ」「恐れ」といった基本的な感情をしっかり持っていることが明らかになっています。
たとえば、飼い主が帰ってきたときにしっぽをブンブン振ってぴょんぴょん跳ねるのは「うれしい!」という気持ちの表れ。
逆に、雷が鳴ったり、知らない人に近づかれたときにブルブル震えたり隠れたりするのは「怖い…」という気持ちがあるからなんです。
ただし、人間のように「将来を悲観して落ち込む」「自分の行動を恥じて反省する」といった“複雑で高度な感情”は持ち合わせていないと考えられています。
つまり、「罪悪感」や「羞恥心」のような感情は、ワンちゃんには備わっていないというのが専門家の見解です。
たとえば、イタズラをしたあとに“申し訳なさそうな顔”をしているように見えても、それは「飼い主の機嫌が悪そう」「怒られるかもしれない」という状況判断による反応に過ぎません。
ワンちゃんは自分の行動の“良し悪し”を道徳的に判断することはないのです。
あのしょんぼりした顔は、「やっちゃった…ごめんなさい」ではなく、「あ、まずい空気だ…」という警戒心なんですね。
とはいえ、感情がないわけではありません。
むしろ、ワンちゃんの「今この瞬間」の感情は、とても豊かでまっすぐ。
嬉しいときは全力で甘えてきますし、不安なときは飼い主のそばを離れようとしません。
行動学の専門家であるスタンレー・コレン博士は、「ワンちゃんの感情発達は人間の3歳児ほどに相当する」と述べています。
つまり、まだ言葉を持たない子どもが表情やしぐさ、声のトーンで周囲の感情を読み取って行動するように、ワンちゃんたちも飼い主の雰囲気や声色にとても敏感。
だからこそ、一緒に笑ったり、沈んだりするように感じられるんですね。
ワンちゃんは、今を生きる動物です。
過去を悔やまず、未来を恐れず、「いま、うれしい!」「これ、いやだな!」というリアルな気持ちを、まっすぐ伝えてくれています。 だからこそ、私たちもその気持ちをちゃんと受け取ってあげたいですね。

飼い主のこと、どう思ってるの?
ワンちゃんと暮らしていると、ふとこんな疑問が浮かびませんか?
「この子って私のこと、どう思ってるんだろう…?」家族? リーダー? それともただの“エサくれる人”…?
じつは近年の研究で、ワンちゃんたちは飼い主を“特別な存在”として認識していることが明らかになっています。
私たち人間が思っている以上に、彼らの心の中で飼い主は大きな存在なんです。
たとえば、ある嗅覚研究では、ワンちゃんにさまざまな匂い(見知らぬ人、知人、飼い主など)をかがせたところ、飼い主の匂いにだけ脳の「報酬系(快感を感じる部分)」が強く反応したという結果が出ています。
これはつまり、「飼い主=うれしい」「安心する存在」として、脳が自然に喜んでいる証拠。
また、オキシトシンという“愛情ホルモン”にも注目です。
人間の赤ちゃんが母親と見つめ合うときに分泌されるこのホルモン、実はワンちゃんと飼い主の間でも目を合わせるだけでお互いに増加することが分かっています。
だから、ワンちゃんがあなたの目をじっと見つめてくるのは、「なにか言いたい」だけじゃなく、「大好きだよ」「つながっていたい」というサインかもしれません。
ワンちゃんにとっての飼い主は、単なるごはん係ではなく、心の拠りどころであり、頼れる存在。
群れで生きる習性のあるワンちゃんにとって、飼い主は“仲間”以上の“家族”ともいえる存在なのです。
とはいえ、ワンちゃんが飼い主をどう感じているかは、その子の性格やこれまでの経験によっても異なります。
たとえば、愛情をもって育てられてきたワンちゃんは、飼い主を信頼し、自信を持って甘えるようになります。
一方、過去に人に怖い思いをさせられた子は、人間を警戒することもあるでしょう。
でも大丈夫。 ワンちゃんは「この人は信じられる」と思えば、ゆっくりと心を開いてくれます。 焦らず、毎日コツコツと信頼を積み重ねていくことが大切なんですね。
ワンちゃんにとって、飼い主は世界の中心です。 だからこそ、「見ていてくれる」「わかってくれている」という安心感が、何よりのごほうび。 今日もそっと見つめ返してあげてください。 「大好きだよ」という気持ち、ちゃんと伝わってますよ。

男の人と女の人、どっちが好き?
「うちのワンちゃん、男の人が苦手みたい…」 「女の人にはすぐなつくけど、男性には吠えるのよね」そんな話、よく耳にしませんか? 実際、ワンちゃんには「性別による好き嫌い」が見られることがあります。
でもこれ、性格の問題ではなく、過去の経験や生まれ持った感受性が大きく関係しているんです。
まず、一般的な傾向として──男性は声が低く、体格が大きく、動作もダイナミック。
一方で女性は声が高く、体格も小柄で、やさしい口調や柔らかいしぐさが多いですよね。
この違いが、ワンちゃんにとっては「威圧感がある」か「安心できる」かの印象を大きく左右します。
とくに子犬期の社会化(いろんな人・音・場所に慣れる時期)に、どんな人と接してきたかが鍵。
この時期にやさしい女性とばかり接していた子は、「女性=安心」「男性=未知の存在」と思いやすく、男性に対して少し警戒することがあります。
また、過去に男性に怖い思いをさせられたことがある場合──たとえば、怒鳴られた、強く叱られたなど──トラウマとなって男性全般に不信感を抱くケースも。
逆に、いつも散歩に連れていってくれるのがお父さんだったり、遊んでくれるのが男の人だったりすれば、「男の人=楽しい人」というイメージになることもあります。
つまり、ワンちゃんにとっての「性別の好み」は、生まれつきではなく“経験”の積み重ねによって形づくられるものなんですね。
ただし、専門家によると、「性別の差」よりももっと重要なのが“その人がどう接するか”なんだそうです。
たとえ男性でも、静かで優しく接してくれる人にはワンちゃんも安心しやすく、反対に女性でも大きな声で急に触ろうとしたらびっくりして逃げてしまうことも。
最初は怖がっていても、時間をかけてゆっくり関係を築けば、どんな人にも心を開いてくれるのがワンちゃんのすごいところ。
「男の人が苦手だからしょうがない」とあきらめる前に、その子が安心できる接し方を見つけてあげてくださいね。

道端の草を食べちゃうけど大丈夫?
お散歩中、ワンちゃんが急に立ち止まって、ムシャムシャと草を食べ始める──「えっ!?お腹すいてるの?それとも、どこか悪いの?」と、つい焦ってしまった経験、ありませんか?
実はこれ、ワンちゃんにはけっこう“あるある”な行動なんです。
まず、はっきりさせておきたいのが、草を食べる=病気ではないということ。
ワンちゃんが草を食べる理由は実にさまざまで、専門家の間でもいくつかの説が挙げられています。
草を食べる理由、こんなにある!
胃の不快感をリセットしたいから
「ちょっと胃がムカムカするな…」そんなとき、草を食べて吐き出すことで体調を整えるワンちゃんもいます。
実際、草を食べたあとに胃液や未消化物を吐き出す子も多く、それでスッキリすることも。
なんとなくのクセ・暇つぶし
特に体調が悪いわけでもなく、ただの習慣や暇つぶしとして草をつい食べちゃう子も。
草の匂いや感触を楽しんでいるのかもしれません。
野生の名残(本能)
オオカミなど野生動物もときどき草を食べることが知られており、腸内環境を整えたり、寄生虫を排出するために草の繊維を利用しているとも言われています。
ワンちゃんにもその本能が少し残っているのかもしれません。
でも、注意が必要な場合も!
いくら自然な行動とはいえ、どんな草でも安心とは限りません。
・除草剤がまかれている草
・排気ガスで汚染された道ばたの雑草
・毒性のある植物(アジサイ、ユリ科の草など)
こういった草を口にしてしまうと、中毒や下痢・嘔吐の原因になることがあります。
また、頻繁に草を食べて吐いている場合は、胃腸の不調やストレスの可能性もあるため、念のため獣医さんに相談を。
じゃあ、どうすればいい?
草を食べるたびに神経質になりすぎる必要はありませんが、場所やタイミングを見極めてあげるのが大切です。
・草むらに鼻を突っ込もうとしたらやさしく誘導
・頻繁に草を食べるようならフードの見直しや、散歩コースの変更も検討
・「食べちゃダメ」ではなく、「こっち行こうね〜」と楽しく気をそらす工夫も◎
ワンちゃんにとって草は、ときに胃薬であり、おやつであり、好奇心の対象でもあります。でも、その草が安全とは限らない。だからこそ、飼い主が知識を持って見守ってあげることが一番の安心ですね。

サイレンに遠吠えするのはなぜ?
ピーポーピーポー…。 救急車や消防車のサイレンが聞こえると、突然「ワオーン!」と遠吠えを始めるワンちゃん。「 えっ、なに!? 怖いの?うるさいの?それとも応援してる?」と、思わず聞きたくなりますよね。
でも実はこれ、ワンちゃんにとっては“ごく自然な反応”なんです。
遠吠えはオオカミの名残?
ワンちゃんの祖先は、野生で暮らすオオカミ。
オオカミは広い森の中で仲間に自分の居場所を知らせたり、群れを呼び寄せたりするために「遠吠え」を使います。
その本能が、現代のワンちゃんにもちゃんと残っているんです。
サイレンの高い音は、オオカミの遠吠えと音の高さ(周波数)が似ているとされていて、ワンちゃんはこれを「仲間の遠吠え」と勘違いして、「ここにいるよ!」と答えるように吠えているのかもしれません。
実際、複数のワンちゃんが同時に遠吠えを始めるのも、「おーい、こっちもいるよ〜!」と呼び合っているような感覚なのです。
不安? それともおしゃべり?
もちろん、すべてのワンちゃんがサイレンに遠吠えするわけではありません。
反応するかどうかは、その子の性格や音への敏感さにもよります。
ある子はサイレンに反応して「誰か来るの!?」と緊張して警戒吠えをすることもありますし、別の子は「なんか呼ばれてる気がする!」と張り切って遠吠えすることも。
つまり、「怖い」「うるさい」というよりは、“何か感じて”吠えているケースが多いのです。
行動学の専門家の中には、「遠吠えはストレス発散の手段のひとつでもある」と指摘する方もいます。
つまり、サイレンの刺激でテンションが上がり、「ワオーン!」と叫んで気持ちを整理しているのかもしれません。
やめさせた方がいいの?
飼い主としては、「ご近所迷惑になるかも…」と心配になる気持ちもありますよね。
でも、基本的には生理的な反応であり、問題行動ではありません。
ただし、あまりにも頻繁だったり、過剰に興奮してパニック状態になる場合は注意が必要です。
そんなときは、
・サイレンが聞こえたらすぐに気をそらす(おやつ・おもちゃなど)
・窓を閉めて外の音を和らげる
・「サイレン=いいことがある」とポジティブな関連付けをしてみるといった工夫をするとよいでしょう。
サイレンへの遠吠えは、ワンちゃんが“自分なりの言葉”で世界とコミュニケーションしているサイン。 昔ながらの本能が、今もちゃんと息づいている証拠なんですね。

お腹を見せるって、降参の合図?
ゴロンと寝転がって、お腹を見せてくるワンちゃん。 「かわいい〜♡」「甘えてるんだな〜」と思う反面、「これって降参のポーズ?それとも信頼のしるし?」とちょっと迷うこともありますよね。
結論からいうと──お腹を見せる行動には、“いくつかの意味”があるんです。
降参?服従?それとも甘え?
ワンちゃんが自分のお腹、つまり急所をあえて見せるのは、安心している証拠です。
ただし、そのときの気持ちにはいくつかのバリエーションがあります。
服従のサイン(降参の合図)
相手が自分よりも強い存在だと認め、「攻撃しないでね」「敵意はないよ」と伝えるために、お腹を見せて伏せることがあります。
これは本能的なボディランゲージ。
特に見知らぬ人や他のワンちゃんとの関係性がまだ定まっていないときに見られます。
信頼と甘えの表現
一方で、飼い主に対してお腹を見せるときは、「甘え」と「信頼」のサインであることが多いです。
「ここなら安全」「この人なら絶対に大丈夫」と感じているからこそ、無防備な姿をさらけ出せるんですね。
なでなでをおねだりしている場合もよくあります。
遊びの途中のポーズ
テンションが上がってじゃれている最中にコロンとお腹を見せることもあります。
これは「もっとやろう!」という合図だったり、「ちょっと休憩〜」のポーズだったり。
つまり、お腹を見せる行動には「服従」「信頼」「甘え」「遊び」のような意味が含まれていて、状況や相手によって使い分けているのです。
判断のコツは“しっぽ”と“顔”
では、どの意味なのかどうやって見分ければいいのでしょうか?
ポイントは、しっぽの動きや表情にあります。
・しっぽをふりふり、目がトロンとしていれば「うれしい・甘え」のサイン。 ・しっぽを足の間に巻き込んでいて、目がそらされているようなら「ちょっと怖い・服従」の可能性が高いです。
また、触っても喜ばない、体を固くしている場合は、無理にお腹を触らないでそっとしておいてあげましょう。

無防備に見えて、実はすごいこと
お腹を見せるという行動は、ワンちゃんにとっては勇気のいることでもあります。 野生では急所をさらす=命の危険にもつながる行為だからです。
それをあえて見せてくるということは、「あなたのことを心から信じてるよ」という最大級の信頼表現でもあるんですね。
今日、おうちのワンちゃんがごろんとお腹を見せてきたら、ぜひやさしくなでなでしてあげてください。 その行動の裏には、「大好きだよ」「安心してるよ」という、ワンちゃんの小さな“本音”が隠れているかもしれません。

他の犬にヤキモチ焼くって本当?
「他のワンちゃんをなでたら、急に割り込んできた!」
「スマホを見てたら、鼻でグイッと押してきた!」こんな“かまってアピール”に心当たりのある飼い主さん、多いのでは?
実はワンちゃん、しっかり“ヤキモチ”を焼きます。
しかも、これはただの気のせいではなく、科学的にも証明されているんです!
カリフォルニア大学の研究が面白い!
2014年、カリフォルニア大学サンディエゴ校の研究チームが行った実験では、36頭のワンちゃんに対し、飼い主が3つの異なる対象に意図的に関心を示すというシチュエーションを設定しました。
ぬいぐるみのワンちゃん(リアルな犬の形と動き)
ハロウィン用のカボチャのバケツ
絵本を読む(無関心に見える対象)
その結果、ぬいぐるみのワンちゃんに対してだけ、明らかに「嫉妬のような反応」を示したのです。 割り込んできたり、飼い主とぬいぐるみの間に体を入れてきたり、時には吠えるなどの行動も見られました。
この研究は、犬にも人間のような「独占欲」や「嫉妬」の感情に近いものがあることを示す、画期的な発見として注目されました。
「ヤキモチ」の正体とは?
ワンちゃんの“ヤキモチ”は、単なるわがままではありません。
これは、「大好きな存在(=飼い主)との絆が脅かされるかもしれない」という不安や警戒心のあらわれなんです。
たとえば、他のワンちゃんや赤ちゃん、新しい家族が増えたときに、急に甘えん坊になったり、いたずらが増えたりするのも、“自分を見て!”という気持ちから。
「この人は、ボクの大事な存在。取られたくない!」そんなまっすぐな想いが、ちょっと不器用な行動に出るんですね。
ヤキモチへの上手な対応は?
大切なのは、「ダメ!」と否定するのではなく、ちゃんと愛情を伝えてあげること。
・「ちゃんと見てるよ」「あなたが大切だよ」という声かけ
・スキンシップやごほうびで、安心感を与える
・新しく登場した存在(他のワンちゃん、赤ちゃん)と“楽しい経験”をセットにする
そうすることで、「取られた」ではなく、「一緒に楽しいことがある」と認識してくれるようになります。
ワンちゃんのヤキモチは、それだけ飼い主さんのことを大好きだという証拠。
少しめんどうに感じる瞬間があるかもしれませんが、それもまた愛おしい“本音”なんですよね。

しっぽを振ってたら喜んでるの?
「しっぽをブンブン振ってる=うれしい!」…と思いがちですが、実はそれ、半分正解で、半分は早とちりかもしれません。
ワンちゃんのしっぽは、まさに感情のバロメーター。
でも、その“振り方”によって、喜び・緊張・不安・警戒など、ぜんぜん違う気持ちを表しているんです。
振る“方向”で気持ちがわかる?
2007年にイタリアの研究チームが発表した有名な論文では、ワンちゃんのしっぽの動きと感情の関係が細かく分析されました。
右側に大きく振るとき──これは「うれしい!たのしい!安心してる!」というポジティブな感情のサイン。
たとえば、飼い主を見つけた瞬間や、ごはんの時間などに多く見られます。
左側に振るとき──実はこれ、「ちょっと不安…」「警戒してる」という気持ちのあらわれ。
見知らぬ人や苦手なワンちゃんに出会ったときに、微妙に左寄りにしっぽが動いていることがあります。
これは脳の左右の働きに関係していて、「右脳=ネガティブ」「左脳=ポジティブ」とされる感情処理の偏りが、しっぽの振り方に現れているというのです。
おそるべし、ワンちゃんのボディランゲージ!

振る“高さ”と“速さ”も重要!
高い位置でピンと振っている → 自信あり、ちょっと興奮気味 中くらいの位置でリズミカルに振る → リラックス、友好的 しっぽが下がって小刻みに振っている → 緊張、控えめな警戒モード しっぽが脚の間に入り込んでいる → 怖い、不安、服従のサイン
さらに、しっぽを大きく早くブンブン振るのは、うれしさMAX!まさに「好き!」のサイン。
一方で、カクカクと固く短く振るような場合は、「近寄らないで」という警告のこともあるので注意が必要です。

しっぽが短いワンちゃんはどうしてる?
しっぽの動きが感情のサインと聞くと、「じゃあ、しっぽがない子はどうやって伝えてるの?」という疑問が出てきますよね。
例えばフレンチブルドッグやボストンテリアのように生まれつきしっぽが短いワンちゃん、または断尾された子たちは、代わりに全身で気持ちを伝えています!
・おしりごとプリプリ動かす
・背中や腰をくねらせて近づいてくる
・目や耳、顔の表情が豊かになる・前足をチョンチョンとあててくる
つまり、「しっぽがない=感情が読めない」わけではなく、体全体を使った“しっぽ代わり”のコミュニケーションをとってくれているのです。
ワンちゃんのしっぽは、小さな“こころの翻訳機”。 ただ単に振っているだけではなく、「どの方向に」「どれくらいの高さで」「どんな速さで」を読み取ることで、その子の“本音”がぐっと見えてくるようになります。
「しっぽを振ってる=喜んでる」と決めつけずに、ぜひその子なりのサインに目を向けてみてくださいね。

口をペロペロなめるのは愛情表現?
ワンちゃんが飼い主の口元や顔をペロペロ…。 「うわ、くすぐったい!」「あれ?もしかしてチューしてくれてるの?」──なんて微笑ましい瞬間ですが、この“なめなめ行動”、実は単なる愛情表現だけじゃないんです!
ワンちゃんのペロペロには、本能・気持ち・学習の3つの要素が絡み合っています。
① 本能的なあいさつ・お願いのしぐさ
まず注目したいのが、ワンちゃんの祖先であるオオカミの習性。 オオカミの子どもは、狩りから戻ってきた親の口元をなめることで、「ごはんちょうだい」とお願いをします。 これは“吐き戻し”してもらうためのサイン。
その名残で、「口をなめる=親しい相手へのお願い」という行動が現代のワンちゃんにも残っていると考えられています。
つまり、飼い主の口元をペロペロするのは、「大好き!」「安心してる!」というだけでなく、“何かを求めている”サインでもあるんです。
② 愛情・服従・安心のしるし
もちろん、ワンちゃんが口元をなめるときは信頼と愛情の気持ちもたっぷりこもっています。
「あなたが大好き」
「仲間だよね」
「不安だからなぐさめてほしい」
「怒ってないよね?」という確認
こうしたポジティブな気持ちや安心感から、ペロペロと舐めてくることがよくあります。
特に、目を見つめてからそっと舐めてくる場合は、“甘えたい”“なでてほしい”というラブコールかもしれませんね。
③ 「なめる=かまってもらえる」を覚えた
さらに、意外と多いのが「行動の学習としてのペロペロ」。
ワンちゃんが顔をなめたときに、飼い主が笑ったり、声をかけたり、抱きしめたりすると、「なめればかまってもらえる!」と覚えることがあります。 その結果、ちょっと退屈なときや構ってほしいときに、「よし、なめよう!」と行動するようになるんです。
つまり、“愛情のサイン”であると同時に、“かまって行動”でもあるわけですね。
ちょっと注意したい場合も
ペロペロ行動は基本的には無害でかわいらしいものですが、以下のような場合は注意や対応が必要です。
・やたらと執拗に舐める(特定の場所ばかり)
・不安やストレス時に頻繁になる
・皮膚病やアレルギーのサインで自分の体をなめ続ける
こうした場合は、精神的な不安や健康トラブルの可能性もあるため、行動の背景をよく観察し、獣医さんに相談すると安心です 。
ペロペロは、ワンちゃんなりの「大好き!」の気持ちを表すしぐさ。 でも同時に、「不安だよ」「かまって!」というサインでもあります。
毎日のなめなめに「また〜」と笑いながらも、「どんな気持ちかな?」と少しだけ耳をすませてみてください。そこには、ワンちゃんのやさしい“本音”が隠れているかもしれませんよ。

犬も笑うって聞いたけどホント?
「うちの子、笑ってるような顔するんです!」 「口角がキュッと上がって、目もキラキラして…絶対笑ってる!」──そんなふうに感じたこと、ありませんか?
実はそれ、あながち間違っていないかもしれません。
ワンちゃんにも「笑い」に近い表情や行動が、ちゃんとあるんです!
本当に“笑ってる”の?
もちろん、ワンちゃんは私たち人間のように「おもしろいから笑う」ということはしません。
でも、感情が穏やかで、楽しいときに表れる“笑顔のような表情”は存在します。
たとえば──・口を軽く開いて、口角が自然に上がる ・舌が少し出て、リラックスした呼吸・目が細くなって、柔らかい表情になる
この状態こそが、飼い主が感じる「笑ってるみたい!」の正体。
専門家たちはこれを「プレイフェイス(遊び顔)」と呼んでいます。
行動学的にも「笑いの原型」がある
動物行動学者のパトリシア・サイモンズ博士やジャ・アカーレ博士らの研究では、ワンちゃんが遊んでいるときに出す特有の“ハッハッ”という息づかいを「犬の笑い声」と呼び、これを録音して他のワンちゃんに聞かせると、不安が和らぎ、尻尾を振ってリラックスしたというデータもあるのです。
つまりワンちゃんは、“声”や“顔の筋肉”を使って、私たちが感じる“笑い”に近いものを表現していると考えられています。 表情筋が進化したのは“人との絆”のため
ここで注目したいのが、オオカミとワンちゃんの顔の違い。
近年の解剖学的研究によると、ワンちゃんはオオカミに比べて“眉を持ち上げる筋肉(levator anguli oculi medialis)”がより発達していることが明らかになっています。
この筋肉によって、ワンちゃんは「目をくいっと上げてかわいく見せる」「表情豊かに人に訴える」といったことができるようになっているのです。
これは、長い時間をかけて人間とともに生きる中で、“愛されやすい顔”を進化の中で身につけてきた結果とも言われています。
つまり、ワンちゃんの“笑顔”はただの偶然ではなく、人との絆を深めるために生まれた表現力なのです。
飼い主との絆が深まると「笑顔」も増える?
おもしろいことに、ワンちゃんは「信頼している人」「一緒に遊ぶ相手」と接するときに、より多く“笑顔”を見せる傾向があるとも言われています。 これは人間の赤ちゃんが、好きな人にだけニッコリするのと似ていますよね。
さらに、飼い主が笑顔で接していると、ワンちゃんもつられるようにプレイフェイスを見せてくれることが多いのです。
まるで「一緒に笑いたいな」って気持ちが通じているみたい!
笑顔の裏にある“本音”
ワンちゃんの「笑顔」のような表情は、 ・リラックスしてるよ〜
・今、すっごく楽しい!
・安心してるからこんな顔になるんだよ
という、ポジティブな感情のサインです。
もしあなたのワンちゃんがふとした瞬間に“笑っているように見えたら”、それは間違いなく、あなたといる時間が幸せだという証拠。その笑顔を引き出せる飼い主さんも、素敵です。
ワンちゃんの笑顔は、声に出さなくてもちゃんと伝わってくる“心のサイン”。 私たちが日々の中で「この子、楽しそう!」と感じるその感覚は、きっと間違っていません。
その笑顔が今日もたくさん見られるように──たくさん遊んで、たくさん話しかけて、たくさん愛情を届けてあげてくださいね。

まとめ──ワンちゃんの心にもっと近づくために
私たち人間と同じように、ワンちゃんにも“心”があります。
しっぽを振ったり、顔をなめたり、時には不思議な行動をとったり──それらすべてには、ちゃんと理由と“本音”が隠れているのです。
「しっぽを右に振っていたのはうれしかったからなんだ」
「お腹を見せたのは、安心してくれてたんだな」
「口をペロペロするのは、愛情や信頼のサインだったのかも」
そんなふうに、ワンちゃんの気持ちを少しずつ“翻訳”できるようになると、きっと今まで以上に深い絆が育まれるはず。
今回のブログでは、ワンちゃんの感情・行動・表現を、行動学や獣医学の視点から掘り下げてきました。
でも、いちばん大切なのは「正解を知ること」よりも、「気づこうとすること」。
私たちが“わかろうとする姿勢”こそが、ワンちゃんにとって何よりの安心と信頼につながります。 これからも、ワンちゃんの表情・動き・声なき声に、ぜひ耳を傾けてみてください。
ワンちゃんの“本音”は、きっとあなたのすぐそばで、今日もこっそり語りかけているはずですよ。

※参考文献:藤井康一『いぬ大全304』(新星出版社、2021年)
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