レプトスピラ症ってなに?|犬も人も気をつけたい感染症をわかりやすく解説


「レプトスピラ症」
名前を聞いても、
「……それって何?」
という方のほうが多いかもしれません。
狂犬病やフィラリアほど耳にする機会はないのに、ワンちゃんのワクチンについて調べていると突然「レプトスピラ」という名前が出てきて、
「うちの子にも関係あるの?」
と気になった方もいるのではないでしょうか。
実はレプトスピラ症は、細菌によって起こる感染症です。
ワンちゃんでは腎臓や肝臓に大きなダメージを与えることがあり、重症化すると命に関わることもあります。
そして少し注意したいのが、犬だけの病気ではなく、人にも感染する可能性がある「人獣共通感染症」だということです。
とはいえ、
「怖い感染症なんだ!」
と必要以上に身構える必要はありません。
どこで感染する可能性があるのか、どんなサインがあるのかを知っておけば、普段の生活の中で気をつけられることがあります。
今回は、聞き慣れない「レプトスピラ症」を、できるだけ難しい言葉を使わずに見ていきましょう。
※獣医学的な内容は、Merck Veterinary Manual(2026年7〜9月更新)、CDC(2026年2月10日更新)、Cornell University College of Veterinary Medicineの公開情報を2026年10月3日に確認しています。
目次
そもそもレプトスピラ症って、どんな病気?
レプトスピラ症は、レプトスピラという細菌が体の中に入ることで起こる感染症です。
少しイメージしにくいですよね。
身近なところで考えるなら、
野生動物やネズミなどが持っている細菌が尿と一緒に外へ出る ↓ その尿で水や土が汚染される ↓ そこへワンちゃんが触れる
という流れで感染することがあります。
レプトスピラ菌は特に暖かく湿った環境を好み、池や川、水たまりなどの水環境が感染源になることがあります。
感染した動物の尿に直接触れなくても、尿で汚染された水や土を介して感染する可能性があるということです。
そう聞くと、
「山や田んぼへ行く犬だけの話?」
と思うかもしれません。
ところが、そうとも限りません。
CDCでは、農村部だけでなく都市部や郊外で暮らす犬にも感染リスクがあるとしています。
ネズミなどの野生動物は街中にもいますし、ドッグランやペットホテルなど、ほかの犬や環境と接触する機会もあります。疾病管理予防センター
つまり、
「うちは室内犬だから関係ない」
とは言い切れない感染症なんですね。

水たまりをペロペロ……それだけで感染するの?
レプトスピラ菌は、口や鼻などの粘膜、傷のある皮膚などから体内へ入ることがあります。
たとえば雨上がりのお散歩。
ワンちゃんが水たまりのにおいを嗅いだり、少し舐めたりすることがありますよね。
その水が感染動物の尿で汚染されていれば、感染のきっかけになる可能性があります。
もちろん、
「水たまりを舐めた=レプトスピラ症になる」
という話ではありません。
ただ、正体の分からない水を積極的に飲ませない、ネズミなどの野生動物との接触をなるべく避ける、といった習慣は予防につながります。
特に大雨や洪水のあとなど、水や土が広い範囲で汚染されやすい状況では少し意識しておきたいところです。

感染すると、ワンちゃんはどうなるの?
ここがレプトスピラ症の少し難しいところです。
感染したワンちゃんすべてに、同じ症状が出るわけではありません。
ほとんど症状が出ない場合もあれば、短期間で重い状態になることもあります。
特に影響を受けやすいのが腎臓と肝臓です。
最近の犬のレプトスピラ症では、急性腎障害が代表的な症状のひとつとされています。 気をつけたい変化としては、
急に元気がなくなる、食べなくなる
嘔吐や下痢をする
水を飲む量やオシッコの量がいつもと違う
体を痛がる、動きたがらない
白目や歯ぐき、皮膚が黄色っぽくなる
発熱、脱水などがみられる
といったものがあります。
ただし、どれもレプトスピラ症だけに現れる症状ではありません。
「吐いたからレプトスピラ」
「水をよく飲むからレプトスピラ」
と判断することはできないんです。
むしろ、
「昨日まで普通だったのに、急に様子がおかしい」
という変化を見逃さないことのほうが大切です。

どうやって調べるの?
レプトスピラ症が疑われる場合、動物病院では血液検査や尿検査を行い、腎臓や肝臓の状態などを確認します。
さらに必要に応じて、細菌の遺伝子を調べるPCR検査や、体内にできた抗体を調べる検査などを組み合わせて診断します。
レプトスピラ症は、症状だけを見るとほかの病気と似ていることがあります。
そのため、
「昨日、水たまりの多い場所へ行った」
「川遊びをした」
「ネズミを見かける場所を散歩した」
など、最近の行動を獣医師へ伝えることも診断のヒントになります。
もし感染しても、治療できる?
治療には抗菌薬が使われます。
状態によっては入院し、点滴や電解質の調整など、腎臓や肝臓を支える治療が必要になることもあります。
早く治療を始めて回復するワンちゃんもいますが、重い腎障害や肝障害を起こした場合には、その後も慢性的な問題が残ることがあります。
だからこそ、
「ちょっと元気がないから数日見てみよう」
ではなく、急に食べなくなった、何度も吐く、オシッコの様子がおかしいなど、明らかな体調変化があるときには早めに受診してください。
レプトスピラ症にはワクチンもあります
レプトスピラ症には予防ワクチンがあります。
ただし、レプトスピラにはさまざまな種類があり、ワクチンですべてのタイプを完全に防げるわけではありません。
だから、
「打つべき?打たなくてもいい?」
をインターネットの記事だけで決めるより、
住んでいる地域や普段のお散歩コース、川・キャンプなどへ行くか、ほかの犬と接触する機会が多いかなどをかかりつけの獣医師に伝えて相談するのがいちばんです。

人にも感染するって本当?
ここは覚えておいてほしいポイントです。
レプトスピラ症は、人にも感染する可能性があります。
感染した動物の尿などに含まれる菌が、傷のある皮膚や目・口などの粘膜から入ることで感染することがあります。
だからといって、レプトスピラ症になったワンちゃんを怖がったり、距離を置いたりする必要はありません。
獣医師の指示に従って、
尿を処理するときには素手で触らない。
手袋を使う。
処理したあとは手をよく洗う。
こうした基本的な感染対策が大切です。
もしワンちゃんがレプトスピラ症と診断され、飼い主さん自身にも体調不良が出た場合には、犬がレプトスピラ症と診断されたことを医療機関へ伝えてください。

普段の生活でできることは意外とシンプル
ここまで読むと、
「外には危険がいっぱいなの?」
と思ってしまうかもしれません。
でも、ワンちゃんのお散歩や外遊びを怖がる必要はありません。
雨上がりの水たまりや、流れのない汚れた水を積極的に飲ませない。
ネズミなどの野生動物との接触をできるだけ避ける。ワクチンについては、その子の生活環境に合わせて獣医師と相談する。
特別なことを始めるというより、
普段のお散歩をほんの少し意識する。
それくらいからで十分です。
レプトスピラ症は「知らないから怖い」病気
「レプトスピラ症」
初めて聞くと、なんだか難しそうで、怖そうな名前ですよね。
でも正体が分かってくると、
動物の尿などを通して環境へ広がる細菌感染症で、水や土を介してワンちゃんが感染することがある。
まずはここを知っておけば大丈夫です。
そして、
「室内犬だから絶対大丈夫」
「山へ行かないから関係ない」
と決めつけず、その子が普段どんな場所で暮らし、どんなところへ遊びに行くのかを考えてみる。
それが予防の第一歩になります。
WANMARTでは食事を通じてワンちゃんの健康を考えることを大切にしていますが、食事だけでは防げない病気もあります。
毎日のごはん。
お散歩。
予防医療。
ちょっとした体調の変化。
その全部を合わせて見てあげることが、ワンちゃんの健康を守ることにつながります。
聞き慣れない病名に出会ったときも、
怖がる前に、「まず知っておこう」
そんな気持ちで向き合っていきたいですね。






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